こりゃあ凄いニュースだ。
報道いわく、多い所だと「道路に1センチほど積もっていた」という。
いったい何をどうしたらそうなるのか。
カゲロウと想像力
ときおり目にする、このような羽虫の大量発生。
『こんなの車に乗ってれば関係ないし、無視すれば良いじゃん』と思っていた私だが、現実はそんなに生易しくはないらしい。
「虫」と「大量発生」という単語の羅列を見て、私が想像できたのは
- 気持ち悪い
- 口や目に入る
- 物理的にぶつかって危ない
とかそういう、自分が今まで虫に対して抱いてきたイメージをそのまま言葉にしただけの、経験からくる思い込みで語れてしまうような、想像力のかけらも感じられない薄っぺらい内容だった。
しかし、これだけ大量に死につつも長きに渡って繁殖し続ける羽虫の力とは凄いもので、私の甘っちょろい考えなんて一瞬にして吹き飛ばされてしまった。
上記の記事で、動画を再生すると聞こえてきた言葉。
「愛知県警と岐阜県警は、スリップなどの危険があるとして、この橋を一部通行止めにしました。」
スリップ。
そうか。
1匹のカゲロウが道路に止まっていた所で、それは車のスリップとは全く関係のない、人畜無害な存在かもしれない。
しかしそんな彼らでも、よってたかって集まれば、車のタイヤの横幅くらいの長さには簡単になる。
そして通常考えうる「限界」を超え、今回のような大量さに達した時、その「タイヤの横幅」程度だった存在は、まるで何百メートルにも渡って続く南極の氷のように、大きなものを滑らせる道となる。
個々の力は弱くて小さいとしても、持てる限りの力を使って積み重なれば、自分よりはるかに大きな「人間様」の車をスリップさせる原因を作り、人々を足止めさせるという偉業を成し遂げることだってできるのだ。
つまり
塵も積もれば山となり、カゲロウ積もれば道となる。
ということはつまり、「1人の人間の小さな努力だって、積み重ねていけば大きな夢を叶えられる」ということだ。
今回大量発生したカゲロウたちはきっと、この世知辛い世の中を生きる全ての人間に向けて、そういうメッセージを伝えたかったんじゃないだろうか。
だから私は彼らの思いを汲み、車の下敷きになって亡くなったカゲロウ達の無念な姿をこの目に焼き付け、明日も頑張って生きようと、そう心に決めたのだ。
Photo credit: nubobo via VisualHunt / CC BY