ぼくはしょうがく4ねんせい。しょうらいのゆめは、ユーチューバーになること!
とアラサー男子が書く姿を想像してください。
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さて今回は、この記事を読んで思ったことを書いていく。
何だか否定的なタイトルだが、あなたはどう思うだろうか?
はじめに
この記事では『ユーチューバー』という言葉を多用するが、これは単に「youtubeを使用して稼ぐ人」だけを表すのではない。
ここでいうユーチューバーとは
- 自分の行動を
- 動画配信サービスやブログなどのインターネットを通して宣伝し
- 生計を立てられる程度にお金を稼ぐ人
のことだと定義する。
同様に、『youtube』という言葉も特定の動画配信サービスを指すのではなく、上記のような『宣伝に使用できる媒体』という広い意味で使用する。
それじゃあ、行こうか。
子供たちにとってのユーチューバー
私たち大人にはあまり馴染みのない「ユーチューバー」だが、今を生きる子供たちの目には、この職業はどう映っているのだろうか。
『芸能人』や『スポーツ選手』と似ている
最近の子供にとって、youtubeとは「テレビ」のような存在だ。
一昔前、家に帰ってテレビをつけるとテレビ番組がやっていて、そこでは芸能人が面白おかしい話をしたり、スポーツ選手のカッコいい姿が映っていた。
このように『誰でも見られる媒体の中で、不特定多数の人から注目されること』を生業としている点で、『インターネットで注目を集めるユーチューバー』はこれらの職業によく似ていると言える。
そう考えると、私たちが子供のころ『スポーツ選手になりたい!』という人は多かったのだから、今の子供が『ユーチューバーになる!』と言うのはごく自然な流れだ。
『僕のお父さん』より遥かに楽しそうに、そして沢山稼いでいる
そのユーチューバーは、子供の目には『楽しく稼げる職業』に見えている。
実際にはyoutubeという競合の多い環境で「人気ユーチューバー」になれるのは一握りで、そこにたどり着くのは簡単なことではない。
しかし確かに、実際に稼いでいる彼らは楽しそうに仕事をしている。
一方で、子供たちは自分の親を見てどう思うだろうか。
普通は会社で仕事をするため、親が仕事している姿を間近で見ている子供は少ない。そして会社ではストレスも溜まりやすく、家に帰ってから子供に「仕事の楽しさ」を教える親はほとんど居ないだろう。
しかも一般的に有名な「人気の高いユーチューバー」は、ほとんどが普通の会社員よりも高収入で、その収入が公開されていることも多い。
だからこそ『大変そうに仕事するお父さんの職業』よりも、『楽しんで稼げるユーチューバー』になりたい、という考えは出てきて当然なのだ。
今までのどの職業より身近で、分かりやすい
先ほど、似ている職業として「芸能人」や「スポーツ選手」を挙げたが、私たちが小さいころ、これらの職業はあまり身近ではなかった。なぜなら彼らは『数多くの選手から選ばれた人間』であり、テレビという『出たくても出られない場所』に居る、いわば架空の生き物のような存在だったからだ。
それに対してユーチューバーの仕事は、「youtubeに動画を投稿する」という誰でもできる身近な行為であり、最近の小学生なら実際に投稿したこともあるだろう。
その上、多くの動画は自宅から配信されていて、子供の目から見ても『どこで何をやっているのか分かりやすい職業』なのは明らかである。
これまでの職業とユーチューバーの決定的な違い
このようにユーチューバーは子供たちから注目されやすい職業だが、今までの職業とは決定的に違うポイントがいくつかある。
それは以下の3点だ。
- 上に組織があるか、個人事業か
- 自分の好きなことを仕事にできる
- 必要なのは『情報』だけ
上に組織があるか、個人事業か
今までもメディアに出て稼ぐ職業は存在したが、テレビに出ている人たちの上には必ず「企業」があった。芸能人なら所属事務所、スポーツ選手ならスポンサー、といったように、特定の企業がいないと活動できず、収入も得られなかったからだ。
その点ユーチューバーは、広告事業の発達や動画編集技術の一般化により、インターネットで個人がお金を稼げるようになって出てきた新しい個人事業の形である。
自分の好きなことを仕事にできる
ユーチューバーは簡単に言えば『自分の好きなことをやって、それを楽しく世の中に伝えて報酬を得ている』人たちである。
その在り方は人によって違い、自分が好きなことを使って独自のコンテンツを配信し、視聴者を集められれば、それが仕事になる。これは会社の下で働く場合にはない自由さであり、最近よく聞く『好きなことを仕事にする』ということそのものだ。
ただ誤解してはいけないのは、全てを自分のやりたいようにやっても視聴者が付く可能性は低いため、人が集まるコンテンツを創る力は絶対に必要である。
必要なのは『情報』だけ
ユーチューバーを始めるにあたって、特別な場所は必要ない。そして物を売ったりもしないため、Webカメラなどの機材以外に特別なモノも必要ない。もっと言えば、特定の相手が居るわけではなく、始める段階では人脈も資金も必要ない。
このように、始める敷居が低いのもこの職業の特徴だ。
重要なことは、その好きなものを使ってどんな情報・コンテンツを作ることができるのか。それは実際に作る人自身にかかっている。
子供に意識させておくべきこと
さて、ユーチューバーがどんな職業かは大体整理できたが、子供に見えているのはほとんどが良い面ばかりで、実際に目指す場合には気をつけるべきことも多い。
この記事を読んでくれているような「インターネットを使い慣れている人たち」には当たり前のことになるが、リスクを知らない子供にとっては重要なことであるため、以下の3点について書いておく。
- 不特定多数に自分を特定される危険性
- 何の保証もない、個人事業主であること
- いともたやすく行われる犯罪行為
1. 不特定多数に自分を特定される危険性
ユーチューバーは当然ながら、顔と声を公開してコンテンツを作成する仕事だ。
もちろん非公開で稼ぐ方法もあるが、それは大抵『お金を稼ぐことに特化したユーチューバー』だ。しかし今の子供が目指しているのは、自分たちが見て楽しんでいる『自分を公開するユーチューバー』だろう。
だとすると当然、個人を特定されることが大きなリスクとなる。
本人が悪いことをしていなくてもいたずらや脅迫などを受けたり、特に女性の場合はストーカーや、最悪の場合は事件に巻き込まれる可能性も高くなる。
芸能人の場合は事務所によってある程度の配慮があるだろうが、ユーチューバーは全て個人で対応しなくてはならない。
コンテンツを作る時には出来る限り自宅を特定されないよう注意したり、警備会社つきの家に住むなど、可能な限りの自己防衛を行う必要がある。
2. 何の保証もない、個人事業主であること
当然のことながら、youtubeなどの媒体が一生あり続ける保証はない。そしてもしユーチューバーとして稼げなくなった時、別の方向に舵を切れるのは自分しかいない。
また、確定申告など、お金の管理についても自分で行う必要がある。
だからこそ、子供が本気でこの職業を目指したいと言ったなら、早い段階からお金についての知識を教えこんでおいた方が良い。
3. いともたやすく行われる犯罪行為
どこかの大統領ではないが、インターネットでは簡単に犯罪を起こせてしまう。
- 他人が著作権を持つ画像を配布してしまった。
- うっかり他人の個人情報を映してしまった。
- 軽い冗談のつもりが誹謗中傷として訴えられてしまった。
これらは私たちのような大人でさえ「わかっていたけどやってしまった」ということも多く、放っておけば誰かが指摘してくれるものではない。
ユーチューバーとして生きていくなら、一般的な法律の知識に加え、インターネット上の常識(古い言葉で言う『ネチケット』のようなもの)も含めてしっかりと把握しておく必要がある。
私たちの教えられることは何か
最後に、この記事のタイトルの通り、ユーチューバーになりたい子供に対して『私たちは何を教えられるのか』を考える。
オリジナリティ・独創性を大切にすること
ユーチューバーを目指す人が増えるなら、これからはより一層、他との差別化が重要になってくる。
本来子供は誰だってオリジナリティを持っているが、成長する過程では周囲に合わせなきゃいけないことも多い。
しかし、ユーチューバーという職業に就くなら、どんな環境でも自分の考えを明確に持ち、周りと違うことを楽しめる性格でなければ稼いでいくのは難しい。
「皆右利きだから」子供の利き手を矯正するのは、良いことばかりではないのだ。
それと同じように『皆やってるからユーチューバーになりたい』というタイプの子供はそのままだと絶対に稼げないので、早めに気づかせてあげなきゃいけない。
自分で考える力を持つこと
自分の目の前で起きたこと、そして自分が得た知識を全て鵜呑みにしていては、オリジナリティを出すことは不可能だ。
だからこそ、何事も自分で考え、自分なりの答えを出すクセをつける必要がある。小さい頃からこれが当たり前にできれば、将来どんな道にだって進むことができる。
最近は質問掲示板で学校の宿題の答えを聞く姿をよく見かけるが、そんな子供はユーチューバーになっても埋もれてしまうので、今のうちからしっかり教えておこう。
興味の『幅』を増やすこと
本当のオリジナリティとは一つのことを突き詰めた先にあるものではない。
一つのことを深く勉強すれば、確かに「最先端の知識」は得られる。それは確かに大事なことだが、そこに「独自の知識」は生まれない。東大を出ても稼げない人が居るのは、こういった理由から来ているのだ。
私たちが本当に自分独自のものを考えたい時、一番可能性が広いのは『他のものと組み合わせる』ことだ。youtubeを英語と組み合わせればバイリンガールになるし、聖書と掛けあわせたチャンネルだってある。
このように組み合わせの引き出しを増やすためには、子供の頃から幅広いものに目を向け、柔軟に吸収できる脳みそを作っておくことが必要不可欠だ。
もしあなたの周りに『ユーチューバーになるからyoutubeしか見ない』なんて子供がいたら、横からそっと青春18切符を渡してあげよう。
おわりに
世間では批判的な見方の多い「ユーチューバー」だが、私としては『夢があって良いじゃん』と考えている。
というか批判的意見が多すぎておじさんは悲しくなってきました。
そもそも今の小学生が大人になった時、私たちの知っている職業はほとんど残っていないかもしれないし、他にもっと面白い職業が沢山できているかもしれない。
そんな現代において、私たち大人ができるのは子供の考えを矯正することではなく、どうすれば上手くいくのか一緒に考えていくことだ。
だから私たちは、ユーチューバーになりたい子供が本気でユーチューバーを目指すために必要なアドバイスができる大人になる必要がある。
まぁ簡単に言えば
『子供を大人に合わせるんじゃなくて、大人も子供に合わせる努力をせなアカンで』
という話だ。
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この記事はタイトルの通り「子供に対する記事」を書いた。つもりだった。
しかし、これらは自分で読み返すと『今の私にも必要なこと』であると分かった。
色々なことに興味を持ち、自分で考え、自分だけのオリジナリティを持つというのは、仕事をする上でもブログを書く上でも、絶対必要になっているのだ。
そんな訳で、この記事は今後子供と話をする時のアドバイスとして使うだけでなく、私自身も普段の生活の中で思い出しながら生きていこうと思う。