『ナンバーワンよりオンリーワン』
有名なあの曲にもある通り、誰しも1度は聞いたことがあるこのフレーズですが、私はあまり納得できません。
なぜあの人はオンリーワンなのか。
そして例えオンリーワンだとしても、なぜナンバーワンにならなくて良いのか。
そこが全然語られないので、何が言いたいのかわからない。
そんな訳で今回は、この2つの言葉について考えていきます。
1.言葉の定義を明確にする
『ナンバーワン』とは
「君がナンバーワンだ!」って言われたら、誰だって嬉しいですよね。
私だって嬉しいです。
それくらい、ナンバーワンというのは聞こえの良い言葉。
今回はこの言葉を『同じ属性を持つ集団の中で、決められた指標で順番に並べた時に一番最初に来るもの』と定義します。
例えばテストの成績で言うなら、こんな感じ。
- 属性:○×学校1年生 かつ 1学期の期末試験を受けた人
- 指標:点数
- 順序:高い順
この場合、点数の一番高い人がナンバーワンとなります。
『オンリーワン』とは
「君はオンリーワンだ!」って言われたら、あなたはどう思いますか?
私は『何で?』って思います。
オンリーワンはナンバーワンと違い、あまり指標が明確でない場合でも使われてしまうからです。
今回はこの言葉を『ある集団の中で、任意の属性の組み合わせを指定すると一意に特定できるもの』と考えます。
例えば、以下の図形があった場合
属性『図形』で見ると、上記全てが当てはまるのでオンリーワンはありません。
属性を『青色』とした場合、青い形は1つなのでこの図形はオンリーワンです。
また、属性が『赤色』や『四角形』単体だと複数の図形が当てはまりますが、『赤色 かつ 四角形』の図形はオンリーワンです。
このようにオンリーワンは、属性の捉え方次第でいくつものバリエーションが発生します。
2.ナンバーワンとオンリーワンを比較する
共通点は何か
共通点は大きく2つ。
1つは上記に示した通り、どんな条件で判断するかによって変わるということ。
テストは基本的に点数の高い人がナンバーワンですが、順番を逆にするだけで別の人が1位になり、上記の例のようにどの属性を切り口とするかによって、オンリーワンかどうかも変わってきます。
もう一つは決められた集団の中の評価であるということ。
いくらテストでナンバーワンでも、その順位はあくまでテストを受けた人の中だけ。
そしてたとえ青い図形がオンリーワンだったとしても、それは『この記事に出てきた図形の中』の話であり、世の中を見渡せば青色の図形なんていくらでもあります。
このように、2つの言葉は結構似ている存在です。
ナンバーワンとオンリーワンの関係
しかし実は、この2つの間には以下の公式が成り立ちます。
- オンリーワンは 必ず ナンバーワンである
- ナンバーワンは 時として オンリーワンである
図で表すならこんな感じ。
No1
Only1
これはなぜかと言うと、オンリーワンは「自分一人しか居ない」状態のため、その中でどんな順位をつけようと『1人中1番』なのでナンバーワンでもあるから。
そして、テストなどの競争でナンバーワンと言われる場合は『皆同じ属性を持っている中での順位付け』なので、その時点でオンリーワンではないからです。
このように、発生する確率だけで考えればナンバーワンよりもオンリーワンの方が圧倒的に少なく、貴重です。
にもかかわらず、ナンバーワンはオンリーワンよりも上の称号なのはなぜでしょうか。
それは、ナンバーワンは『誰かが求めた場所』で生まれることが多いからです。
大抵の場合、ナンバーワンになるための競争は金持ちや上の位の人が何かを求めて順位付けし、一番良いものを探すために行われます。
だからこそ、その中での1位は表彰され、世間からの注目を浴びることになります。
逆にオンリーワンは順位を付けても意味が無く、役に立つか判断できないため、あまり注目されることはありません。
(もしオンリーワンが求められたとしても、そこには人が集まり、結局はオンリーワンでなくなる事がほとんどです。)
3.結局『ナンバーワンよりオンリーワン』とは?
最初に戻ると、「ナンバーワンよりオンリーワン」というのは
『君は一番じゃないけど、見方によってはたった一人しか居ない属性を持っているよ!何の役に立つかは分からないけどね(笑)』
ということの遠回しな表現です。
やっぱりこれ、別に良い事言ってないですよね。
この言葉で伝えたいのは『オンリーワンの属性を持っているんだから、それを活かして生きていけばきっと良い事あるさ』って感じなんだろうと思いますが、結局他人と差別化できていないとダメという枠に縛られていて、あまり気持ち良くありません。
本当に重要なのは、オンリーワンとかナンバーワンとか人が作った指標に振り回されず、もっと気楽に生きることです。
という訳で、(普通のIT企業に勤め、会社の歯車として働く私も)このブログを更新する人間としてはオンリーワンですので、頑張って更新していきます。