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技術のショボさは作品のショボさではない 子供たちの「面白い」とシンプルさの本質

news.denfaminicogamer.jp

子供が言っている。

「グラフィックや音楽のショボさなんて、そんなに気になるほどじゃない

この言葉には本質が隠されているように感じた。


ファミコンの音楽は「ショボい」のか

上記の記事は私のようなゲーム世代の大人にとって、非常に気になる内容だ。

そして実際、古いゲームをプレイした子供たちの正直な意見を聞くことができる。


そんな素晴らしい記事の中で、私が一番気になったのはこのやりとりだ。

ヨッピー氏「やっぱり絵は気になる? 他にも音楽がショボいとか」
子供「そんなに気になるってほどじゃないけど。もっとやりたい」


確かに現代のゲームは、グラフィックの綺麗さや、音楽に関してなら音質や音源の多彩さだけで見れば、過去と比べるまでもなく圧倒的に進んでいると言える。

しかしその一方で「音楽」としての素晴らしさ、そして「ゲーム」としての面白さ自体が圧倒的に進んだかといえば、その判断は難しい。

今を生きる大人達の口から「昔のゲームは楽しかった」という言葉を聞くこともあるし、筆者の周りには未だに「ドンキーコングのBGMは最高だった」なんていう友達も何人かいる。

そう考えるとつまり、「心に響く音楽」とか「プレイして楽しいゲームアルゴリズム」などという本質的な部分に焦点を当てた時、過去と現代の作品の差はそんなに大きくないのかもしれない。

現代の子供に過去のゲームをプレイさせ、その感想を聞くことで改めてこの意見に至るというのは中々面白い体験だ。


機械や技術は進化し、あらゆるものが簡単に作り出せるようになってきた。

Cubaseなら数万円でプロ仕様の音源が手に入るし、無償で利用できるUnityを使えば個人でも簡単に3Dグラフィックを使ったゲームを作れる。

でもこれらは単に「高品質な素材が使える」や「開発の手間が減った」というだけの話であって、「センスを身につけることが簡単になった」という訳ではない。

もちろん物理的な手間が減って、短時間に多くの経験ができるからこそ身に付けられるセンスも沢山あり、それらは確実に現代作品の良さへと繋がっている。

しかし振り返ってみれば、昔のゲーム製作者は8bitという非常に限られた世界で、音楽やグラフィックの制限をものともせず、世の中に影響を与え続けてきた人達だ。

しかもその結果、過去に作られた作品は数十年経過した現代においても十分に認められるだけの存在感を放っている。

これらの事実を省みると、ファミコンの音楽に対して「ショボい」という表現を使うのは、どこか的はずれな言い回しにさえ感じてしまった。

※補足
記事のヨッピー氏は恐らくファミコンが大好きだと思われるため、今回の取材においては子供から正直な意見を引き出す為にあえて「ショボい」という表現を使ったと考えるのが妥当である。

現代に求められる「シンプルさ」

上記の通り、世の中の技術はここ数年で今までにない進化を遂げた。

と同時に、それらの複雑性も非常な速度で高まってきている。

たとえば私達が毎日のように身に着けているスマートフォンは、便利ではあるものの、その全ての機能を把握して使いこなせている人間はほぼ存在しない。

そしてその販売業者においても、複雑難解な書類を作り、利用者を騙して陥れるような契約を迫ってきたりする。

このように情報が複雑化している現代において、全てのものに求められる指標として「シンプルさ」の視点がある。

複雑さはユーザーにとって理解の妨げでしかなく、どんな場面においても「分かりやすく明快である」ことが求められるようになった。

少し前まで、身近なあらゆるシステムは全てスキュアモーフィックデザイン(立体感や質感を重視したデザイン)が主流だった。ところがそれは今や影を潜め、代わりに出てきたのが「フラットデザイン」だ。

フラットデザインでは、今まで積み重ねてきたデザインの「余計な部分」を取り払い、本当に必要なところにだけ必要な装飾を施す必要がある。これはいわばシンプルさを極限まで求めたようなデザインだともいえる。

そのような背景から見れば、現代において古き良き「シンプルな」ゲームが認められ、現代に生まれた若者がプレイしてもなお「楽しい」と感じるのは、いわば当たり前のことなのかもしれない。

さいごに

子供たちが昔のゲームをクソゲーだと言い出さずに本当によかった。

ファミコンゲームはその表現に制限がある故、アルゴリズムとしては非常にシンプルで、それでいて癖になるような仕組みがたくさん盛り込まれているのだ。

現代や旧世代といった垣根なく、全てのものを同じ視点で見つめて「面白い」と判断できる現代っ子の感性は、とても素晴らしいものだと感じる。

おまけ

この記事とは関係ないが、「子供×ゲーム」という題材で非常に興味深い記事を読んだのでリンクを貼っておく。
p-shirokuma.hatenadiary.com
こちらは「ゲーム」というものをシンプルな要素に分解し、応用していくための本。

組み立て×分解! ゲームデザイン ――ゲームが変わる「ルール」のパワー

組み立て×分解! ゲームデザイン ――ゲームが変わる「ルール」のパワー