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まさおまっさお

おいまさおがんばれまさお

累乗される生存率と、共働きを "前提に" 子供を育てることの危うさ

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Photo credit: jacqui.brown33 via Visualhunt / CC BY-SA

 

 

生存率99%の人間が2人居る時、どちらも生存する確率は98%だ。

 

 

世の中には確率がある。

 

身の回りの全ての確率を恐れていては何も行動できなくなってしまうが、確率論で示されたデータは、自分の行動を考える上で重要な指標となる。

 

 

私は、最近話題になったこの記事を見て思った。

 

yaya.hatenablog.com

 

共働きを前提にした生活って、本当に大丈夫なんだろうか?

 

※以下、上昇婚とは一切関係のない話が続く。

 

 

はじめに:前提条件

実際の所、ある年齢で結婚した夫婦が、子供が成人するまで(= 20年間)生きていられる確率はどれくらいのものだろうか。

 

数字だけだと分かりにくいので、できるだけ言葉で補足しながら計算してみる。

 

直列夫婦と並列夫婦

はじめに、今回の計算には、IT系の試験でよく出る「稼働率」の計算式を使う。

 

【参考】シスアド講座 故障率から稼働率を求める

 

夫婦の場合、この稼働率はいわば「家庭が存続できる確率」だと考えられる。

 

そして上記のURLにもある通り、複数のシステムにおける稼働率を求める場合、それらの関係が直列なのか並列なのか定義することが必要だ。

 

これは夫婦に置き換えると、こういうことになる。

 

【直列夫婦】
 男女両方の収入がないと生きていけない状態

【並列夫婦】
 男女どちらかの収入があれば生きていける状態

 

計算の元となるデータ

今回は、厚生労働省の資料を使って「死亡率」を求める。

 

【参考】平成26年 人口動態統計月報年計(概数)の概況 9ページ

 

この資料には、年齢・性別ごとに「1年間で10万人中何人が死亡したか」という死亡数の記録がある。例えば男性の30~34歳の場合は「69.5人」のため、年間死亡率はこれを使って以下のとおり計算する。

 

例)30~34歳男性の年間死亡率

69.5人 ÷ 100000人 = 0.000695 = 0.0695%

 

また、この記事では人間は必ず、生きているか死んでいるかどちらかの状態にある」と仮定し、死亡率と生存率は以下の関係が成り立つものとする。

 

生存率 = 100% - 死亡率

 

 

直列夫婦の計算

直列夫婦の場合、男女両方が生きていなければ家庭が成り立たない。だから確率の計算式は以下のとおりになる。

 

直列夫婦の生存率 = 男性の生存率 × 女性の生存率

男性の生存率 = 100% - 男性の死亡率

女性の生存率 = 100% - 女性の死亡率

 

実際に計算してみる

数学的に解くと超面倒なので、Excelさんにお任せして計算します。

 

面倒な方は、赤い所だけ見てください。

 

【25歳で結婚した場合】

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【30歳で結婚した場合】

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要するに

直列夫婦100組が20年間生活する場合、

  • 開始年齢が25歳の場合は約38組に1組
  • 開始年齢が30歳の場合は約26組に1組

の確率で男女どちらかが死亡し、家庭が崩壊する。

 

並列夫婦の計算

並列夫婦の場合、男女どちらかが生きていれば家庭が成り立つ。これを計算しやすく言うと、「男女両方が死亡した場合を除き、家庭が成り立つ」ということになり、計算式は以下のとおりになる。

 

並列夫婦の生存率 = 100% - 男女両方が死亡する確率

男女両方が死亡する確率 = 男性の死亡率 × 女性の死亡率

 

実際に計算してみる

直列夫婦同様、Excelで計算。

 

※一部「100.00%」となっているのは、表示できない桁を四捨五入しているため。

 

【25歳で結婚した場合】

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【30歳で結婚した場合】

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要するに

並列夫婦100組が20年間生活する場合、

  • 開始年齢が25歳の場合は約5000組に1組
  • 開始年齢が30歳の場合は約3333組に1組

の確率で男女両方が死亡し、家庭が崩壊する。

 

個人的な結果の考察など

確率をどう捉えるか

上記の表を見て分かるとおり、40代までの人間が1年間で死亡する確率は1%にも満たない。つまり生存率は99%以上であるにも関わらず、その数字を何度も掛け合わせた結果はかなり低い数字になる。

 

25歳の夫婦が居た場合、20年のうちに38組に1組の割合でどちらかが死亡する。 

これを高いと見るか低いと見るかは人によるだろう。

 

しかし今回の計算は、あくまで「死亡率」しか見ていない。

実際の世の中を見れば、事故や病気で体が動かなくなったり、精神的な要因で働けなくなったり、大企業に居てもリストラされることもある。現実問題として、今の収入を20年間継続できる確率はかなり低そうだ。

 

少なくとも私は、上の数字を見て「うちは大丈夫だ」とは思えなかった。

 

直列的な考えと、並列的な考え 

25歳から20年間の生存率は男性で98.28%、女性で99.03%。

 

この数字から家庭の存続率を計算すると、直列の場合は97.34%、並列の場合は99.98%となる。

 

直列の場合は個人の生存率よりも家庭の存続率が低くなるが、並列の場合は個人の生存率より、家庭の存続率の方が高くなっているのが分かる。

 

つまり、直列夫婦の考え方は「共働きすれば、1人より裕福に暮らせるね」であり、並列夫婦の場合は「共働きだから、どちらかが倒れても安心して暮らせるね」というようにお互いを保険として、家庭存続を考える余裕があるということだ。

 

稼働率を計算していた時からわかっていた結果だが、身近な数字に置き換えてみると、かなりシビアな話だなと改めて感じた。

 

並列夫婦を求めることについて

上記のグラフを見れば差は歴然だが、例えば25歳で結婚した場合、家庭崩壊の確率は直列で2.66%、並列で0.02%。つまり、並列夫婦の方が130倍以上も有利なのだ

 

婚活などのニュースで、一部の女性が「年収○万円以上の男性」を求めている発言があると、ネットでは「共働きすれば収入は十分だ」という指摘が上がったりする。

 

確かに相手を選ぶのに、年収ばかりを見るのは良いことではない。

しかしこの確率差を見れば、どんな人であろうと「相手の稼ぎだけでも生活できる状態にしておきたい」と考えるのは自然なことではないだろうか。

 

 

対策として考えられること

実際の世の中において、片方が亡くなってしまった時にはお金のかからない家に引っ越すことになるだろう。また、場合によっては再婚相手を見つけたり、いざとなれば生活保護を受ける選択もある。

 

しかし、確率が事前に認識できているのであれば、家庭のレベルでも色々な対策ができそうだ。 

 

以下では、家庭存続のためにどんな対策ができるか考えてみる。

※私はアドバイザーではないので、鵜呑みにしないように!

 

生命保険

生命保険には様々な種類があるが、その中でも収入保障のついたものは、これらの対策としてかなり有効だろう。

 

今回計算したのは「20年間のうちのどこかで死亡する確率」なので、運が良ければ19年後かもしれないが、もしかすると子供を産んですぐかもしれない。

 

そう考えた時、自分達で貯金していくことは有効な手段だ。しかし、 貯金できる額が月数万円程度で「子供が成人するまでの対策」を重視した方が良い状況であれば、収入保障付きの生命保険を買った方が安心できるケースも多そうだ。

 

早めに結婚する

将来的に子供が欲しいと考えている場合、結婚は遅ければ遅いほど不利になる。これは女性の身体に負担がかかるという面もある一方、死亡率の問題も大きい。

 

この記事の2つ目のグラフ(30歳の直列夫婦の例)を見ると分かりやすいが、家庭の存続率の減少は、年齢を重ねるごとに速くなってしまう。 

 

直列型の傾向が強いほどこの危険は大きくなるため、生活がどちらか一方の収入に頼っている場合ほど、子供がほしいなら早めに結婚・出産した方が安全だと言える

  

共働きを「前提」で考えない

今回の計算を通し、共働きを「前提として」将来を考えるのはかなりリスキーだということが分かった。

 

例えばお互いの手取り年収が400万の夫婦でも、年間700万円が前提となるような生活をしていた場合、その家庭が崩壊してしまう確率は2.6%もある。

 

少なくとも、子供を産み、育てていきたいと考えるのであれば、直列的な考え方ではなく並列的な考え方も取り入れ、上記のようなお金の対策と合わせて「できるだけ片方の収入で暮らせるように生計を立てる」ことを意識した方が良い。

 

さいごに

最近のニュースを見ていると、共働きで家庭を回すのがいとも当たり前のように言われているが、それはあくまで「女性の社会進出の視点」から見た時の話だ。

 

今回の数字を見て分かる通り、共働き世帯を前提とした考えは、言ってしまえば「30組に1組の夫婦は犠牲になる前提」の話になってしまう。

 

そうならないためには上記のような個人での対策も必要だが、国として政策を考える時にも「共働きを前提にすれば、これくらいの学費は払える」ではなく、「片親になったとしても、これなら生活できるだろう」という、並列的な見方を取り入れて検討して欲しいと感じた。

  

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数字を扱う記事を初めて書いてみた。

根拠が明確になる一方で、間違いがあるかもしれないという不安が結構大きい。

 

もし間違いを見つけた方は、コメントなどでご指摘頂きたい。